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2019年5月5日日曜日

私とピアノ(3)

今日は一階音楽室(防音室)で仕事。今は三階で仕事をしています。

鍵盤上は自作の作業用テーブル。PCのキーボードやトラックボールを使うことができます。数年前パソコン肘(テニス肘)に苦しみましたが、右手でも左手でも作業できる様にトレーニング、特にトラックボールを左手主体作業にしてから症状は改善、現在では完治しました。さて、

デジタル・ピアノが全盛です。色々な理由から多くの方が利用しています。
ただ、アコースティック・ピアノに比べるといくつか問題点があります。

私はライブの際に少し経験しましたが、無理に集中練習したり、短時間とは言え必要以上に鍵盤を強打すると(私の場合はこれ)、腱鞘炎になる危険があります。

そして「ピアノの美しい響きの実感を得られない」のが残念です。デジタル・ピアノの音も良くなりましたがある意味では不変均一。言葉で表現しづらいのですが、「デジタル・ピアノはピアノではない」と考えています。「ピアノの美しい響き」、それは何と言っても素晴らしいものです。

一番の問題は、多くの人はアコースティック・ピアノ、特にグランド・ピアノの響き、素晴らしい「ピアノの美しい響き」を聴いたことがないので、実感もなにも、デジタル・ピアノの音をピアノの響きだと思っているらしい現実です。言葉の誤用(一生懸命ではなく一所懸命)も大多数が一生懸命だと思えば私の説明は無力です。デジタル・ピアノが一生懸命、アコースティック・ピアノ(特にグランド・ピアノ)が一所懸命だと言いたいのですが、無力感もあります。やれやれです。

アコースティックであればアップライト・ピアノでよいのですが、グランド・ピアノはハンマーが上下動するためアップライトに比べると高速連打等で優れており、響きの豊かさも比較になりません。欲を言えばグランド・ピアノでしょうが、問題は置き場所。大人数でも聴ける会場向き、そのための楽器として進歩してきたのです。

鍵盤の動きを含め音量や音色コントロールについて「タッチ」という表現が使われます。感覚的表現ですが、眼前のピアノはタッチが「重い」。指の弱い人は音が出ない可能性があります。

横浜市の依頼でピアノを選定した際、まず私が演奏してみての感覚評価になりますが、同時に聴いている横浜市職員の評価も参考にしました。評価はほぼ一致していました。
その上でもう一点注意したことがあります。実際に弾く人にとっての「タッチ」です。

「私が弾いて素敵」だけではだめだと思います。市民ホールのピアノです。小さいお子さんが弾く可能性もあるし、ピアノを弾いたことがない人(電子楽器でピアノの音色を選んだことでピアノを弾いた気分になるのは良いが…)が実際にリアルなピアノを弾くとどうなるか…。そんなシーンも多く見てきたからです。

多くの人が(私が選んだ)ピアノで音楽を楽しむ、そのために最適のピアノである様に、私なりによくよく考えて選んだピアノでした。

最近、遂に人類はブラック・ホールを見ることができました(NAOJ)。

ブラックホールとは直結しませんが、アルバート・アインシュタインや相対性理論が再び評価されています。その相対性理論の有名な公式です。

E = mc2(二乗) つまり エネルギー E = 質量 m × 光速度 c の2乗

次の話、(私は)これに関係があると思っています。

ピアノの美しい音の秘密、打鍵の際の力よりも指が鍵盤を通じてアクションに伝える速度(正確には加速度)だと思います。
ちなみにMIDIキーボードがベロシティ(強さ)を検知するのは鍵盤を押し下げた「力」ではなく「速度」です。

ピアノの美しい(しっかりした)音を出すポイントは指の素早い動きが大切です。むやみに力んでも身体が硬直するだけ、美しい(しっかりした)音は得られません。
反対に、ピアノで美しい小さな音を実現するにはしっかりとした指の動きだがとてもデリケートで「遅い動きが必要」です。「弱い力」ではなく「遅い動き」です。大きな音より遅く動かす小さい音の方が「力が要る」のです。私の実感です。

発音の瞬間に向け勢い良く自分の力を、ピアノなら「指先」、太鼓なら「バチ」に伝え、もっと重要なのは、発音の瞬間には上手に脱力している必要があります。
完全に脱力するとピアノの鍵盤は戻ってしまい音は途切れます。指は脱力しても身体から離れませんが太鼓はいい音がしても「バチ」が手から離れて次の一打が打てません。
打鍵した音を伸ばすためにはその鍵盤をそのまま押し下げている、バチは次の打撃に備えてバチを離さない、その程度の力まで脱力して保持する必要はあります。

一連の力加減と脱力、ピアノに限らず発声や管楽器にも共通して全ての音楽表現において「無駄な力が入っていると美しい音は生まれない」のです。

言葉で説明できても、皆さんがそれを実感できる様に指導するのは難しい課題です。
見ていてこちらまで力が入ってしまう様な、「その力の入り方(力み方)はどうにかならないかな」と、そう思っても、どう対策を伝えればよいのか悩みます。

経験を踏まえて、各自それぞれに何かヒントをつかめば変わってゆくはずなので、今後も私もそのあたりの伝え方は研究して行きます。

2019年1月3日木曜日

UM-1X復活!

以前、マックに接続していた「UM-1X」、PCのUSB端子とMIDI端子をつなぐMIDI信号のI/O機器です。
MIDI機器の様にパソコン黎明期から使用され、やりとりする信号もシンプル、システムも同様シンプルであれば、いくらOSが新しくなっても機能するはずだと思い調べてみました。

すると、未だに市場的に売買されているし、「Windows10でUM-1Xを使う」とか、その際に問題となるドライバのインストール方法について、いくつか情報提供をしているページがありました。

ドライバ自体もINF書き換え版ドライバをダウンロードできるサイトがあり、早速64Bit用をダウンロード。
これをインストールしようとしましたが、各種情報にある通り、案の定うまくゆきません。

「ドライバ認証の強制」をオフにしてからインストールする必要がある様です。詳細は省略しますが、私のマシンについてまず調査。BIOSはUEFIでセキュアブートは有効、これを無効にしてから、スタートアップ設定「7.ドライバー署名の強制を無効にする」をクリック。

すると、無事にインストール成功!

やった!

その後、それぞれ設定変更した部分を元の状態に戻しました。

無事に機能しています。次の制作環境に使えるのでうれしいですね。パソコンの画面はMOTU社製のDP9の画面ですが、UM-1エミュレート済みの文字が見えると思いますし、無事にMIDIのI/Oが機能しています。

2015年1月3日土曜日

音楽制作について(14)そして音楽教室について(7)

「音楽制作について」と「音楽教室について」のシリーズ最終回です。
Y.W.さんからの下記メールに対して回答する形でまとめましょう。

>>>メール本文引用(抜粋)>>>
林先生お世話になります。昨日は心配事の多かったSibeliusですが、今日はとってもテンションの上がる記事を見つけました!(中略)Sibelius の記事を書いていた件の作曲家氏のブログで Sibelius 専用のソフト音源を紹介していて絶賛しています。
更に調べたところ開発元の Wallander Instruments がこの音源を使ってクラシックのスコアを再生したデモが YouTube に発表されています。

チャイコフスキー/白鳥の湖

ホルスト/惑星より「火星」

正直驚きました。DAWでオーケストラ再現を意識して作ったデータならともかくクラシックのスコアをそのまま譜面ソフトで再生させてこのヒューマンで音楽的なプレイバックが得られるとは。。。(中略)まさに諸々の考え方を変えさせられる程のインパクトがあります。(中略)件のブログによればフィナーレ用に発売される予定はないそうです。これだけでも形勢逆転(笑) Sibelius にして良かった!と思いました。
>>>以上本文引用(抜粋)>>>

正直驚きました。DAWでオーケストラ再現を意識して作ったデータならともかくクラシックのスコアをそのまま譜面ソフトで再生させてこのヒューマンで音楽的なプレイバックが得られるとは。。。(中略)まさに諸々の考え方を変えさせられる程のインパクトがあります。(中略)件のブログによればフィナーレ用に発売される予定はないそうです。これだけでも形勢逆転(笑) Sibelius にして良かった!と思いました。
>>>以上本文引用(抜粋)>>>
Sibelius の素晴らしさもありますが、私が動画を見た印象は少し違います。これら「クラシックのスコア」の完成度が高い、つまり楽譜の完成度が高いから楽譜の再現だけでも素晴らしい音がしていると考えます。テンポ設定、ダイナミックス(強弱)、アーティキュレーション(フレージングや音価等)をていねいに書くのは実際のオーケストラに演奏させる場合、つまり人が演奏する場合と同じこと。スコアの完成度が高いから人が演奏しても Silelius が楽譜を再生するだけでも美しいのだ、と思います。
Sibelius でオーケストラのシミュレーションが可能ですから、自力でスコアの完成度を上げて行くことが可能、そんな学習が自分で音を確認しながら可能になったのです。

オーケストラは編成が大きい方が楽に書けます。むしろ編成の小さい方が緻密に書かねばなりません。大編成のオーケストラより弦楽四重奏の方が難しい。ある意味ではピアノソロの方がさらに難しいと思います。
そして和声学や対位法の知識や技術が完成度を上げ効果的に響かせたり曲や編曲を構成する底力として重要なことを痛感します。その上で楽器用法も重要。実際の楽器で美しく演奏するにはそれぞれの楽器の特性を知ることが重要です。これは Y.W. さんもジャズのフルバンドで経験されたはず。楽器の実用音域を考えてキーを決める、そんなアドバイスもしましたよね。


最後に私のシステムを説明して音楽や音をデジタル的に録音し編集する素晴らしい制作の世界を紹介しましょう。
パソコン1台で全ての作業を進めることも可能ですが、マルチ・ウィンドウを活用したとしても限られた画面(ディスプレイ)で操作すると色々混乱する様に思います。パソコン1台に操作を集約可能ということと操作性や効率が良い実用的な作業は別と思います。

私はデジタル音(演奏)の解析、楽譜制作と楽譜の確認、演奏情報の編集、演奏情報等にもとづくデジタル録音やそのデータ編集、操作性がよく習熟したアプリケーションを選び、パソコンを分けて使う方が効率が良いと考えています。仮にトラブルが発生してもその箇所を早く発見することができます。デジタル的コントロールやデジタル音のやりとりが可能であればむしろ各種ケーブルやコンバータ(情報の交換器)を経由する方がわかりやすいでしょう。

デジタル音(演奏)解析(つまり採譜作業)は Mac OS-9 マシン上の Digital Performer です。MIDI 演奏情報の編集や再生(演奏)も行います。MIDI 情報は MIDI ケーブル経由で YAMAHA MOTIF RACK ES に送ります。Mac の USB 端子(出力)から Roland UM-1X 経由で MOTIF RACK ES に送ります。画像は UM-1X。MIDI 情報は黄色の MIDI ケーブルで送られます。
MOTIF 背面の MIDI 情報入力部分(黄色のケーブル)です。

音の高さの修正等は MIDI マスターキーボード(グランドピアノに 組み込まれた MIDI センサー)から行います。リアルタイム入力(鍵盤を演奏して演奏を記録)はあまりしませんが可能です。画像はグランドピアノ鍵盤下にある MIDI 出力部分です。

楽譜制作と楽譜の演奏音確認は Windows7 マシン上の Sibelius で行います。音の確認はパソコンの MIDI 音源で行うことが多いのですが、MOTIF RACK ES を MIDI でドライブすることもできます。その際はケーブルの繋ぎ直しです。UA-25 を経由しますので上の説明図には( )囲みで示しました。もちろん Sibelius が持つ各種音源も利用できますがパソコンへの負荷あり私のマシンでは少々しんどいのであまり利用しません。

演奏情報等にもとづくデジタル録音は ココ で説明しました。UA-25 経由となります。デジタル録音とその編集は Windows7 マシン上の Cubase です。

2014年12月5日金曜日

音楽制作について(5)

若い頃、喜多郎さんのサポートをする仕事を担当していました。
全米ツアーについては音楽監督(サウンド面でのプロデューサ)として米国人のサポート・メンバーを指導、ツアーに送り出しました。
米国は外国の伝統文化(日本であれば邦楽など)を例外とし、商業音楽の世界では自国に利益をもたらす活動しか許可しません。つまり日本人のツアー・サポートのメンバーには商用のビザは発給されませんので米国人ミュージッシャンを現地で募集、オーディションをしてバンドを組むしかありませんでした。喜多郎本人も米国のレコード会社からアルバムをリリース、そのアルバムの楽曲を演奏することでようやくツアーを組むことができたのです。

私のパートは基本的には左手がベースで右手がピアノ(アコースティックでは無く主に YAMAHA のエレクトリック・グランド)と各種シンセサイザー、そして MIDIシーケンサのコントロールでした。
一番上のセット図にあるシーケンサは YAMAHA QX-1 となっていますが、ライブの画像を見ると初期のツアーでは喜多郎さんが所持ずる Roland のマシンを使っていた様です。後にこれが QX-1 となります。
ここでのMIDI活用は主にこのシーケンサ、彼の楽曲の内、ある一定のパターンを繰り返す(文字通りのシーケンス)に利用していました。シンセサイザーなど鍵盤楽器を三方向に多数積み上げていますが、どれも基本は手弾きでした。

画像2枚目はクアラルンプール、左は奥只見、
そして香港、次の2枚も香港だと思います。

香港と思われる3枚の画像にはエレクトリック・グランドの代りに DX シリーズの最上位機種 DX-1 が前面にあります。
自分のベース、これを一曲だけ使用したことがありますが、喜多郎さんの楽曲におけるベース音はやはりずしんと太く重いモーグ(日本ではムーグと発音しますね)が最適でした。

2014年12月4日木曜日

音楽制作について(4)

今日は音楽をデジタル的に編集する技術が出て来た頃、黎明期の話です。

当時の画像を探しましたが見つかりませんので、私の著書「コンピュータ&MIDI(3)サウンドブック」から関連画像を利用します。

この本は音楽之友社の編集者J.K.様の企画、既に(1)と(2)が出版されていました。「(これまでの(1)や(2)と違い)技術的な話ではなく音楽の制作現場でコンピュータやMIDIを実際に活用している音楽家の視点から音楽ユーザにわかりやすい本を書いて欲しい」という執筆の依頼でした。

そのJ.K.様には本当にお世話になりました。
コンピュータやMIDIの知識や情報という面もありましたが、それよりも広く音楽全般、特にピアノという楽器についての素晴らしい知見や情報の恩恵を受けました。
今につながる一番需要な要素は、調律師のI.H.様をご紹介下さったことです。

仕事場(音楽教室)で活躍する素晴らしいグランド・ピアノはI.H.様から購入しました。このピアノのみならず私のライブ活動や教室発表会におけるピアノの調律、昨年のピアノ選定作業については実に有益なアドバイスをしてくれました。

思えば今こうして元気に仕事が続けられていること、教室の存続(途中一時期のベーゼンドルファーもI.H.様からのご紹介)、ピアノについてのあれこれ、I.H.様なくして今の私はありません。そしてI.H.様をご紹介下さったJ.K.様、お二人には本当に感謝をしております。

私のパソコン体験は「マック・プラス」と「NEC(記憶によるとPC-8801mkⅡ)」から始まります。

実際に使っていたPC-8801mkⅡの画像が見つかりませんでしたので当時の上位機種(普及機種)PC-9801の画像をご紹介。
PC-8801mkⅡでは楽譜入力アプリケーション MUSIC PRO-98 を試しました(左)。J.K.様の勧めもあり、前職音楽出版社時代からの知人が開発販売をしていたという経緯もあります。

しかし正直のところ「マック・プラス」で使っていたMOTU社製のアプリケーションとの比較にはなりませんでした。この当時のアプリケーションのレベルは「マック・プラス」のアプリケーションの優秀さが際立っていました。

次回は私の音楽教室におけるMIDIの応用や演奏現場(喜多郎さんのステージ等)について書いてゆきます。