9月リリース予定のDL楽譜と音は「秋」や「月」を軸に「日本の懐かしいメロディ(叙情歌)」を選曲、ピアノソロにアレンジしました。
昨日その解説を書いていて気づいたことがあります。
いずれも後日レコード化されますが、多くの人が愛唱する(ポピュラー化する)前史というか、広がりの起点についてです。
劇中歌を観客が覚え口ずさんだり、雑誌付録や詩に関連した「楽譜」によって広がっていった経緯などに気づいたのです。
音楽出版は録音物のイメージが強いのですが、当初は楽譜出版です。レコードが実用化される前は「楽譜や実演により楽曲は世の中に広がっていった」のです。
昨日書いた原稿から引用します。
「宵待草」
実ることなく終わったひと夏の恋を竹久夢二が詩作して発表、これに感動した多忠亮が作曲、セノオ楽譜より出版され一世を風靡する歌曲となりました。
「雨降りお月さん」
作詞:野口雨情、作曲:中山晋平の童謡。最初1925年「コドモノクニ」正月増刊号で発表され(楽譜付き)、好評により同年同誌3月号で続編「雲の蔭」が発表されました。後のレコード化に際してこれら二曲を合わせて一曲とし、(このアレンジを含め)この題名で呼ばれる様になりました。
「うさぎ」
十五夜のお月様を見て跳ねるうさぎの様子を描いた作詞作曲者不詳のわらべうた(童謡)。江戸時代から歌い継がれて来たとされ、三味線や箏など和楽器の練習曲としても使われています。
「里の秋」
2007年「日本の歌百選」に選ばれた童謡で作詞:斎藤信夫、作曲:海沼實。1945年12月24日、ラジオ番組「外地引揚同胞激励の午后」の中で川田正子の新曲(レコード化は1948年)として放送されました。
「赤とんぼ」
夕暮れ時に赤とんぼを見て昔を懐かしく思い出すという郷愁あふれる歌詞の童謡。作詞:三木露風、作曲:山田耕筰。2007年「日本の歌百選」にも選ばれています。
「荒城の月」
七五調の歌詞と西洋音楽的メロディ(一部は当初作曲から日本音階に変化しているとされる)が融合した歌曲。作詞:土井晩翠、作曲:瀧廉太郎。
「ゴンドラの唄」
1915年に芸術座第5回公演「その前夜」の劇中歌として発表された歌曲、作詞:吉井勇、作曲:中山晋平。松井須磨子らが歌い大正時代に流行した。
次の制作には私のオリジナルから五曲(TOYOTA G-BOOK配信「日本の四季」シリーズより)を予定していますが、ピアノで弾いて素敵な音楽が楽しめる、そんな「楽譜」を制作したいと思います。