2016年12月6日火曜日

ハーモニック・マイナーとディミニッシュ(セブンス)・コード

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A Song for You  のイントロや間奏のピアノはとても印象的です。

イントロの前半は下譜例の様に下から上へ長三度を半音で降りてきます。
ピアノのフレーズとして半音で降りてくる例としてロジャー・ウイリアムスの「枯葉」が有名ですが、これは上から下へ完全四度を急速に半音で駆け下り枯葉舞い散るイメージを演奏しています。

レオン・ラッセルの場合は遅いテンポ、アンニュイなイメージと言えばよいでしょうか。
長三度を半音で降り(途中省略していますが半音で同様に1オクターブ下まで)折り返すように上から下へ短三度、これがこの曲のトニック・コードDmの様に響きます。


イントロ後半(上譜例)と間奏部分ではハーモニック・マイナー・スケール(和声的短音階)を利用しています。
ハーモニック・マイナーの特徴はスケールの七番目の音が半音高いこと、臨時記号で半音高く表記されます(下譜例)。

キーとしてはDマイナーなので説明としては下譜例左の様にトニックを開始音とするスケールになりますが、この部分のコードはドミナントセブンス・コードのⅤ7(♭9)とかⅦdim、むしろ下譜例中央のⅦ音や下譜例右のⅤ音を開始音とするスケールの方が演奏して自然に感じると思います。
なお下譜例右のスケールは A harmonic minor scale perfect5th below とも呼ばれます。


マイナー・キーのドミナントセブンス・コードは♭9th まで積み重ねて使うことが多く、下譜例の様にドミナント(Ⅴ音)を省略、つまり根音(root)を省略してⅦdimの形で使うことも多いのです。Dマイナーの場合A7(♭9)やC♯dimとなります。


ピアノなど鍵盤楽器では異名同音を理解するのが難しい様です。

特にdimでは異名同音で読み替えるというか自分にとって理解しやすいdimに置換えて利用する人が多いと思います。異名同音、異なる音名、つまり実際には微妙に高さも異なる別の音を鍵盤楽器では同じ鍵盤にまとめています。例えば楽譜上はF#でもG♭でも同じ黒鍵…という様なことです。
微妙に高さが違う音ということは、弦楽器や管楽器や歌など微妙な高さのコントロールが可能なパートでは区別される音、実際に少し高さの違う音として表現されます。

Dマイナーの Ⅶdim は C#音(スケールのⅦ音)、短三度上の3rd E音(スケールのⅡ音)、減五度上の5th G音(スケールのⅣ音)、減七度上の7th B♭音(スケールのⅥ音)という構造の和音です。

dimは単に「ディミニッシュ」と呼ばれることが多いのですが、正確にはディミニッシュセブンス・コード(diminished 7th chord)、減七の和音です。セブンスが根音の減七度上になります。

下譜例の dim、鍵盤ではどれも同じに見えるというか同じ鍵盤の組み合わせになります。


厳密に Ⅶdim を記譜すると、色々なマイナー・キーの Ⅶdim が存在する事に気づくでしょう。
Ⅶ音はすべて調号ではなく半音高く臨時記号で示されています。
その他の音はそのマイナー・キーのスケール上にある音ですから全て調号で表記されています。この Ⅶdim が Ⅰm へ解決する進行を調号を含めて上に紹介しました。
これらの dim はその和音が使われる場所のキーに応じて区別されねばならないのです。

なおこの場合の Ⅶdim→Ⅰm の進行ではそれぞれの和音に共通音がありません。
dim にはもう一種類、前後に共通音のある使い方があります。
この2種類の使い方については ココ に説明があります(ページの下の方にありますのでずっと下へ画面をスクロールしてください)。

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