2012年7月9日月曜日

My musical history(16)

「モンテカルロ」に出演していたバンドのリーダー白磯タケル(哮)さんが演奏するトランペットは本当に素晴らしいものでした。私が中学1年の時、少しだけトライした楽器でしたから、あんな風に吹けたらいいなって、憧れの思いで見ていました。
このバンドはナインピースでした。トランペット2、トロンボーン1、サックス3、3リズム(ピアノ、ベース、ドラムス)の9人編成です。
フルバンドはトランペット4、トロンボーン4、サックス5、4リズム(ピアノ、ギター、ベース、ドラムス)の17人編成ですからフルバンドより6人少ない編成です。編成は少ないけれど上手なプレイヤーが揃えば本当に素晴らしいサウンドになります。
ショーに出演する歌手やダンサー達はフルバンド用にアレンジされた楽譜を持ち歩きますが、ナインピースでも十分に響くアレンジの場合とそうではない場合がありました。
フルバンドより編成が小さい場合を歯抜け(はぬけ)の編成と言いますが、歯抜けでも十分に響かせるためのコツがあります。どんな編成のバンドでも鳴る(響くという意味)アレンジが実用的かつ上手なアレンジ。フルバンドは編成が大きいので書くのは簡単ですが歯抜けでも鳴るアレンジが書けないとアレンジャー失格かなって思います。
ホーン・セクションはトランペットの1番(ファースト)と2番(セカンド)とトロンボーンの1番の3パートで響く配置を先に書きます。歯抜けでもこの3本で鳴る様にするのです。クローズであれ、オープンであれ、4度の重ねであれ、一番重要な骨格をこの3本で鳴る様に書くのです。その上でフルバンドの場合のそれぞれのセクション、トランペット4本、トロンボーン4本の場合の配置を考えて行きます。
トランペットの1番をトップとして2番、3番、4番と単純に上から順に配置する書き方ではありませんから結果的に3番が1番と2番の間に配置される様なことが増えます。
サックスは基本的に5本でオープンな配置(スプレッド)にしますが、アルトの1番とテナーの1番とバリトンの3本でまず響く様に書いてからこれにアルトとテナーを各1追加して5声にします。例えばセブンス・コードやマイナーセブンス・コード、ルートをバリトン、サードとセブンスがうまく織り成すラインをアルトの1番とテナーの1番に配置する様に書きます。

「ブルー・パシフィック」のリーダー佐野博美さんはいわゆるマルチ・リードのプレイヤーです。基本となるアルト・サックスの他、ソプラノ・サックス(この音色が絶品)、テナー・サックスも演奏します。佐野さんのサックスは音色も演奏も素晴らしいものです。
このバンドはサックス3本(アルト1、テナー1、バリトン1)を基本として3リズムが支えますが、全員フルートの持ち替えができるので、フルート3本編成で演奏する場合もありました。通常のフルート(C管)3本の場合もあり、また1人がアルト・フルートになる場合(これは深みのあるリッチな響き)もありました。

ハコのバンドは、どこでもそうですが、自分のバンドの演奏用楽譜を所持しています。それはA、B、C、の様にいくつかのバインダーに整理されています。曲名で次の曲を指示することは少なく、Aの5番、Cの16番、Bの3番、という風にバインダーの別とその中に並べてある順番(それぞれ番号順に並べておきます)で曲が指示されます。これを事前に準備しておいて演奏して行きますが、演奏しながらこれを取り出しつつ次の演奏に備えてゆく作業が新人にはうまく行かず、最初は大変でした。演奏の後に順番に戻しておかないと次のステージや次の日にも影響します。整理のできない人は次の楽譜が出てこないことになります。流石に数多いレパートリーを暗譜などできませんし、ショーの楽譜同様に新人にとって最初の内は初見ばかり続きます。佐野さんのバンドには私もいくつかアレンジを提供しました。色々試してみることができて勉強にもなりました。この画像は私のアレンジではありませんが、レパートリーからはずされた際に記念に一枚もらったものです。

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