2011年4月5日火曜日

コードネームの正しい書き方について

目下楽譜の制作方法を変更しています。MacからWindowsへの制作環境変更に関連した作業です。
使用予定のアプリケーションのコードネーム記載に問題があり問い合わせたところ、システム的に想定していないらしく、かなり特殊な方法でしか記載できないことが判明しました。これは欠陥と思われるので指摘したところ、ご検討頂ける様です。
なおコードネームは和製英語でコードシンボル(chord symbol)が正しい様ですが、日本で普及しているのでコードネームと書きます。
最近、出版楽譜のコード表記が混乱しています。コードネームはこれを用いてアレンジしたり即興的アレンジで伴奏したり演奏する際に利用されます。統一された書き方はありませんでしたが、コードネームを使うユーザの間にはある種の共通認識なり不文律はありましたし、何よりも以前は、出版用楽譜を制作する人はプロでしたから、ある程度常識的な範囲にまとまっていました。
これが誰でも楽譜をパソコンで書きアップロードできる様になり、出版用楽譜の制作もアマチュアレベルの人が増え、色々原因はありますが、現在の様に混乱を始めました。9を2で書いたりしませんし、13と6は区別されなければなりません。
一番の原因は、クラシックの和声学を学んだ人がコードネームを使って配置するセオリーを無視して勝手に解釈し、和声学の書き方を持ち込んだからだと推測しています。ここまで混乱すると、原因を考えても仕方ありませんが、私としてはコードネームの歴史を踏まえて「正しい書き方について」の注意を喚起し続けたいと思います。微力ではありますが。
最初の画像は私が最初に学んだテキストです。昭和45年初版「ジャズ・スタディ(二番目の画像が奥付)」、当時のバイブル的テキストです。この本を持っていたのは中島先生(故人)というフルートの先生だったそうです。昭和46年7月30日に起きた雫石における全日空機の事故で亡くなり、私が昭和47年4月に入学したネム音楽院(三重県志摩郡)でも教えておられたそうで、ネム音楽院に遺されていました。教務課の先生が「中島先生の遺品だが君が使うのがきっと一番良いな…」と私に渡しました。
私は最初にバークリーから導入されたこの本でジャズの理論を学び、その後に管野光亮先生(故人)から和声学と対位法を学びました。そして、ライフ・ワークとして音楽理論の標準、特にコードを用いるポピュラーやジャズのユーザのために「標準ポピュラー・コード理論」を書いたのです。この本でコードネームについての標準を解説しています。
問題のコードは実に重要なもの、ドミナントセブンス・コードにおけるナチュラル・テンション、13thと9thを含むものです(三番目の画像は「標準ポピュラー・コード理論」より)。これを想定していない楽譜浄書ソフトには正直びっくりしましたが、バージョン・アップされるのであれば歓迎すべきこと、その作業を待ちたいと思います。それまでは裏技で書くことになります。教えてもらった方法にも一部問題があり、私なりに改良中。いやはや大変です…。



2 件のコメント:

  1. とても魅力的な記事でした!!
    また遊びにきます。
    ありがとうございます!!

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  2. コメントに気づくのが遅れ、公開も遅くなりました。
    すみません。コメントありがとうございます。

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