2012年7月28日土曜日

My musical history(21)

最初に楽譜の仕事をしたのは、採譜でした。
オスカー・ピーターソンでした。
とにかくびっくりしたのはその手の大きさ。

彼はA♭メジャーを愛好する様に思いますが、ドミナント・セブンス・コードであるE♭7、これを左手で弾くとき、ひんぱんにテンスのコーダル・ベースを演奏します。


一番下にrootのE♭音(5指)、その上に7thのD♭音(2指)、その上に3rdのG音(1指)、これを一気に演奏します。私は残念ながら届きません…。


テンスは10度音程。コード・ハーモニーの重要な要素であるrootと3rdの3度音程を低音域に密集位置(クローズ)で弾くと響きが濁るのでオクターブ以上になる10度に配置します。近い位置では無くオクターブ以上に広げるので開離位置とかオープンと言います。更にその間に7thも加えてオスカー・ピーターソンは軽々と演奏します。 


私もテンスを弾こうと練習を始め、少しずつ使える様になりました。少しずつ手を広げると手は成長し鍛えられる様です。

同じテンスでも狭いもの、例えばB♭m7なら可能になりました。
次に広いテンス、これが一番多いのですが、これも使える様になりました。画像はCコードです。

しかしついにE♭7は無理でした。
オスカー・ピーターソンは大きな人です。来日の際に近くで見ましたが、巨人です。手も大きいのです。最初の採譜で気づきました。



世の中に細幅鍵盤というのがあるそうです。
中田喜直が普及に努力したそうですが、実際には普及しませんでした。
細幅鍵盤のアップライトピアノを所持する人を知っています。見たことは無いのですが…。問題はご自宅の細幅鍵盤ピアノで弾けたとして、他所のピアノは標準サイズですから苦労する。その苦労を見ました。細幅鍵盤のピアノを持ち歩くのは難しいでしょう。
標準サイズの鍵盤に慣れるしか無いのでは…って思いました。
細幅鍵盤なら私もE♭7のオープン・テンスが届くかな…。

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