2011年6月2日木曜日

ビリー・ジョエルのエンディング・コード

デジタル録音を利用して精密な採譜を進める作業の一端をご紹介しよう。

部分的にループさせて音を確認する。何度聞いても釈然としない場合、完成に近づいている楽譜データをSMF出力、これをとりこんで採譜する音とシンク(同期)させて確認する。
最初に採譜する音のテンポ・データを分析してあるので原音と楽譜データの演奏音はほぼぴったりシンクする。
この状態で楽譜演奏のMIDIデータを編集して釈然としない部分の演奏を原音に近づけて行く。色々試して行く内に原音のアイディアが次第に理解され、アイディアが分析されることでより近いサウンドになり、最終的に一致する。
かなり時間を要する場合も当然ある。












画像はビリー・ジョエルの名曲「ニューヨークの想い(New York State of Mind)」のエンディング部分。
最後のエンディング・コードは当初トニック・コード(この場合C)に△7、9、#11、6(これは13とは言わないので注意)を加えたもの、U.S.T.で言えば[D/C△7]と想定していた。しかしパッセージ(走句・細かい音符で急速に演奏されるフレーズ)を見るとサード(E音)が無い。これは意図的にサードを省略( omit 3rd )している様だ。従ってコード・ネームもG△7(9)/Cとなる。
その直前のドミナント・コードが大苦戦した。通常Ⅴ7の代理和音♭Ⅱ7だろうと考える。サックスのメロディもその様なライン。
しかしどう聞いてもサード(F音)もセブンス(B音)も含まれていない。もしや?単純にクロマチック・アプローチ?
おおお・・・これだ!
こんな作業になることもあるのです。

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