11月13日(土)母校小石川高校で講演会があった。PTAが企画運営し、財団法人紫友会が協力するもので、毎年秋深まるこの時期に開催される。
小石川の卒業生である俳優の加藤剛さん、以前より講演会を企画する試みは何度もあったが実現しなかった。それがPTA役員の熱心な願いで実現した。ご本人も母校85周年の際に同窓会が制作したCDにおける朗読を機に、その内にはとお考えだった様だ。
全て事前に原稿がおこされ、BGMを加えたプログラム。講演というよりもパフォーマンスというものだった。息子さんの頼三四郎さんも一部共演され、これもすばらしかった。共演場面以外は三四郎さんがBGM再生を担当していた。
私にとって加藤剛さん、それは作曲の師匠である故管野光亮先生の出世作、松竹映画「砂の器」の主演者。制作当時は母校の先輩であるとは知らなかった。
講演の始まる少し前、控え室の校長室で初めてお会いした。「管野先生の弟子です」と話をすると、当時のこと、管野先生の話になった。再発された「砂の器」のCDジャケットにサインをお願いすると快く応じてくれた。私は自作のCDをプレゼントした。
講演の終了後、観客の質問にこたえる時間があった。私は映画「砂の器」に関する思い出はありますかと質問した。主役の子供時代を演じた子役の方がとても評判良く(とても良い眼をした方でした)、これに助けられた印象がありますとのお返事だった。ラストシーンでオーケストラを指揮しながらピアノを演奏するシーン、この様な体験が無いだけに苦労したとも話された。
このシーン、顔が見える部分は加藤剛さん、ピアノ演奏する指は師匠管野光亮、後姿は背格好が似ているシャンソン歌手の田中さんが演じたと師匠から聞いている。
私が映画「砂の器」において関係した制作作業、それは主にはオーケストラ録音のためのパート譜の写譜(スコアから各パートの楽譜を書き写す)だったが、徹夜の作業の中、師匠が「明日はピアノを弾かねばならないから後はアレンジも頼む」と先に寝てしまい、アレンジのアイディアを元に私が書いた部分もあり、映画好評につきレコードを出しコンサートも行うことになった際のアレンジは師匠の指示でスコアリングを担当、コンサートのリハーサルでオーケストラ相手に師匠の代役でピアノを演奏したこともあった。そのスコア(私の手書き)のコピーを所持しているので撮影した。この画像はピアノパートを師匠の演奏から採譜した原稿である。
弟子として「砂の器」について深く関わったこと、それは貴重な体験となった。そこでピアノアレンジ譜とピアノ連弾譜をまとめネット楽譜(@Elise)にアップしている。この楽譜はとても人気があり好調なセールスをしている。ぜひこのすばらしい作品を演奏してみて欲しいと考えています。
随筆を主体に語られた一時間程度のパフォーマンス、そこでは役者人生におけるいくつかの作品、強く影響を受けた映画監督や劇作家、頼三四郎さんの作文を交えた父との関係や子育てに関連したこともあり、これらの印象的なお話が彼のすばらしい声で展開された。観客が皆、感動したであろうことは、その場の雰囲気から明らかだった。とてもすばらしい講演会でした。
0 件のコメント:
コメントを投稿